このうえなく雑記なブログ

週刊どうでもいい話

スキルのこと

山のファーストエイドの話 vol.1

更新日:


「ファーストエイド」という言葉を聞いたことのある方は多いと思います。JRC日本蘇生協議会のガイドラインではファーストエイド「急な病気やけがをした人を助けるためにとる最初の行動」と定義しています。その目的としては「いのちを守り、苦痛をやわらげ、けがや病気の悪化を防ぐこと、回復を目指すこと」にあります。このように言葉に表すとなんだかとても大変で難しそうで、自分には無理っ!と思ってしまいますよね。

急な体調不良やケガも街中であれば病院が近くにあったり、救急車を呼べば大丈夫かもしれません。それでも救急車がくるまでの間の応急処置として止血や回復体位など、急を要する場合には対応が必要な場合もあります。そして、それが人里離れた山の中や登山中だったらどうでしょう? 病院は無いし救急車も来られませんまた、救助要請をしてもすぐに駆けつけてくれる保証はないのです。

家族や友人などの同行者がそんな事態に遭遇した時、なすすべもなくただ待つだけではあまりにも残念です。もちろん医療従事者ではないので、できることには限りがありますが、せめて目の前の大切な人の痛みをやわらげるくらいのことはできないものか・・・山でそんなことを考えながら関わってきた「ファーストエイド」についてお話ししたいと思います。

ケガとの関わり


体育会系だったこともあり、ケガで病院のお世話になることの多い学生時代でした。変な話ですが医療の分野への興味が深いほうだったので、病院ではお医者さんに色々尋ねて教えていただくことが多かった記憶があります(それは現在も続いていますが 笑)。当然、自己管理としてのケアもしなくてはいけないので、合宿の時などは自分用の「お薬セット」なるものを持参していました。今で言うところの「セルフメディケーション」をこのころから実践していたのかもしれません。

山を始めて間もないころ、とある低山トレイルで倒れている方に遭遇したことがあります。心臓発作で倒れた方を仲間の方が懸命に心肺蘇生を行っていました。当時、私は心得など全くなかったので、呆然と見ているだけでした。今思うとその方は交代する人もいなくて、とても大変だったと思います。他にも体調不良の方に遭遇することがあったりして、山中でのアクシデントをより身近に感じるようになっていったのだと思います。その後、BLS(一次救命処置)を受講したり消防署の上級救命講習を受けたりしながら趣味の登山を続けていました。

まさかのアクシデント


ある年の夏、縦走目的で北アルプスに出かけた時にアクシデントの当事者になってしまう出来事が起きました。同行者が転倒し手にケガをしてしまいました。ケガの詳細は控えさせていただきますが、手術入院を伴う創傷でした。
ケガを負った後、近くの山小屋でスタッフの方と応急処置をして山岳救助隊の方の到着を待ちました。山岳救助隊の方にさらに処置を施していただいたのですが、山の上では限界があります。

そのうち日没となり、翌日下山ということになったのですが、少しでも早く下りるために、麓に近い山小屋まで夜間移動しました。そこの山小屋でさらに先の山小屋にある夏山診療所から届けられた、抗生剤と鎮痛剤を服用させていただきました。ここまでがお医者さんのいない現場でできることの精一杯だと思います。
翌日、救助隊の方に同行してもらい下山、登山口に待機していた救急車で搬送していただき、検査後手術していただきました。幸いなことに神経系の損傷などもなく障害が残ることもないとのことで、傷さえ治れば問題ないものでした。

この時のお医者さんとの話で思ったのは、設備も何もない「現場」では必ずしもセオリー通りにはいかないということ。医療従事者とそうでない者との違いはありますが、処置そのものも重要性だけでなく、それ以前の傷病者に対する評価の重要性を感じました。この時は「傷病者評価」という言葉は知るはずもなく、何となく感じているだけでしたが、その後のファーストエイド講習で学ぶことになるのでした。

この夏の出来事は自分たちにとって貴重な体験となりました。二度と経験したくはありませんが、日常ではあまりできないこの経験は色々な意味で「財産」に他なりません。この時お世話になった山小屋スタッフ、夏山常駐パトロール隊員、警察、病院関係、全ての方への感謝を今も胸に刻んで山へ登っています。

事前にしっかりと計画&準備した安全登山を心がけていても、事故は起きてしまうことがあります。誰も好きで事故や遭難を起こす訳ではありません。それでも起きてしまった時、どれだけ対処できるかが大事なことだと思います。山に入るのであれば、少しでもファーストエイドの心得や準備をしておいたほうがよいのではないでしょうか。

> 続きを読む 

-スキルのこと

Copyright© 週刊どうでもいい話 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.